産後骨盤矯正

●骨盤の構造

骨盤は中央にある平たい「仙骨」とその先の「尾骨」、そして左右1対ある「寛骨」の3種類の骨から形成されています。
また寛骨は、「坐骨」「恥骨」「腸骨」が組み合わさり、構成されています。

●産後の骨盤の変化

産後は骨盤が開いたり、ゆがんだりしやすいとされます。
それには、次のような要因が考えられます。

・ホルモンの影響

妊娠をきっかけに「リラキシン」と呼ばれるホルモンが分泌され、身体全体の靭帯や筋肉が緩んできます。
出産時に赤ちゃんが産道を通りやすいよう、骨盤を広げる作用がリラキシンにはあります。

産後2、3日すると、リラキシンの分泌は止まり、骨盤の緩んだ状態はしばらく残るといわれています。

・筋力の低下

妊娠中は運動不足になる傾向があるため、骨盤を支えるための筋力が低下しやすくなっています。
また出産時に恥骨が大きく伸ばされるため、「骨盤底筋群」も緩みやすいです。

・荷重バランスの崩れ

妊娠するとお腹に赤ちゃんが入るため、骨盤が前方に傾きやすくなっています。
また妊娠中は、前側に偏った重心を支えるため、腰を反らせる「反り腰」にもなりやすいです。

産後も荷重バランスの崩れや姿勢のくせが残り、骨盤のゆがみに繋がると考えられます。

●肩こり

身体の土台部分が傾くため、姿勢が崩れやすくなっています。
猫背姿勢によって首肩の緊張が強まり、肩こりに繋がる場合があります。

●腰痛

反り腰は、腰が過度に反っているため、腰部の緊張が強まってきます。
加えて産後は赤ちゃんの抱っこや授乳動作など、前かがみ姿勢が続くために、腰痛を起こしやすくなっています。

●膝・股関節の痛み

骨盤が前傾していると、太もも前側の筋肉が張ってきます。
下肢を支える筋肉が硬くなるため、股関節や膝関節に負担がかかりやすくなっています。

●坐骨神経痛

腰椎やお尻まわりの緊張によって、坐骨神経が圧迫され、坐骨神経痛を発症することがあります。
坐骨神経痛は、腰から下半身にかけての痛みやしびれが主な症状です。

●尿漏れ

骨盤底筋群が緩むと尿道がうまく締められず、産後は尿漏れを起こしやすくなっています。

●産後骨盤矯正について

産後骨盤矯正とは、妊娠・出産を経て開いたり、ゆがんだりした骨盤を、元の位置に戻していく施術になります。
当院では、ブロックや手技を用いて矯正を行っていきます。

●産後骨盤矯正の施術内容

・ブロック矯正

骨盤へのアプローチとして、三角ブロックを使用します。

①みる、触るなどして、骨盤がどのように傾いているのかをチェックします。
②患者様にはベッドにうつ伏せ（場合によっては仰向け）に寝てもらいます。
③骨盤の傾きに合わせて、三角ブロックを骨盤の下に置きます。

あとは10〜15分ほど、そのまま待ってもらうだけです。
患者様の体重によって、骨盤が正しい位置に戻っていきます。

・専用の手技

産後の骨盤ケア専用の手技を加えていきます。

<骨盤を締める>

①患者様には横向きで寝てもらいます。
②上から施術者が骨盤を押圧します。

押圧しながら、患者様に足の運動を行ってもらうと、骨盤が徐々に締まってきます。

<くびれづくり>

横向きで特定の筋肉の部位を指圧していきます。
施術は呼吸をしてもらいながら行います。
筋肉の緊張がとれることで、腰まわりのくびれができてきます。

●産後骨盤矯正の特徴

手技は身体がリラックスできるよう、刺激の弱い、ソフトな力で行っていきます。
強く押してしまうと、防御反応で関節や筋肉が緊張してしまうためです。
またブロックを使用した矯正も、ただ横になってもらうだけになります。

そのため当施術は、痛みや強い刺激が苦手な方でも、安心して受けていただけるようになっています。

●施術ができる期間

個人差はありますが、産後1ヶ月を目安に、施術を受けていただけます。

なるべく産後の6ヶ月以内で受けていただくことをおすすめしています。
リラキシンでゆるんだ骨盤も、産後半年を目安に固まると考えられるためです。

ゆるんだ骨盤は矯正を加えやすいため、これまでの骨盤のゆがみをリセットすることも可能です。

●効果

産後骨盤矯正によって、身体には次のような変化を期待できます。

・骨盤が締まる

ブロックや手技によって、出産時に開いた骨盤を締められます。
また骨盤が締まることで、骨盤底筋群の機能も回復してきます。

・骨盤のゆがみ解消

ブロックや手技によって、骨盤のゆがみが解消されてきます。

・ヒップアップ

骨盤の開きや傾きが解消されると、小尻やヒップアップの効果を期待できます。
また骨盤周辺の緊張が緩和され、お尻やお腹まわりの代謝が向上するため、体型の崩れも戻りやすくなります。

●改善が期待される症状

産後骨盤矯正によって、次のような症状改善を期待できます。

・腰痛

背中の伸びた正しい姿勢をとれるため、腰部や背中の緊張が緩和しやすくなります。
血行が回復し、老廃物の排出も促されることで、腰痛の改善が期待できます。

・膝、股関節痛

骨盤が締まると、骨盤周囲の柔軟性や筋力が回復してきます。
下肢の関節にかかる負担が軽減することで、膝や股関節の痛みが緩和しやすくなります。

・坐骨神経痛

骨盤まわりの緊張がやわらぐため、腰椎やお尻まわりを走行する、坐骨神経への圧迫も緩和されやすくなります。
そのため、お尻や太もも、膝下にかけて起こる、しびれや痛み（坐骨神経痛）の改善が期待されます。

・尿漏れ

骨盤底筋群の機能が回復すると、排尿のコントロールも正常化します。
当施術によって、産後に起こりやすい尿漏れの改善を期待できます。

・むくみ

骨盤のゆがみがとれると、下肢への血行も回復してきます。
脚に溜まった老廃物の排出が促されるため、むくみの解消が期待されます。

・生理痛、生理不順

骨盤の傾きが解消されると、骨盤の中におさめられている子宮や卵巣の位置も元に戻ってきます。
生殖器の機能が回復し、生理痛や生理不順といった症状の改善が期待されます。

当院の産後骨盤矯正は、「①ブロック矯正」「②手技による施術」の2種類があります。

①ブロック矯正

三角ブロックという道具を使用してうつぶせの状態で骨盤に挟み、アプローチしていきます。
患者様ご自身の身体重で矯正をかける方法で、非常に安全な矯正方法になります。
痛みを伴う症状に関しては変化を施術直後に感じやすいので大変人気です。
ブロック矯正によって左右前後の骨盤のゆがみと痛みの軽減を目指すことができます。

②手技による施術

横向きで骨盤を締めていったり、上から施術者が押圧しながら患者さんが足の運動をしていきます。
また、横向きで特定の筋肉の部位を指圧していくことで、緊張をほぐし、くびれづくりを行っていきます。

手技による施術を行うことでウエストまわり、骨盤まわりの長さが改善されやすいため、見た目の変化を感じていただけることが多いです。